最近先生のご親戚に赤ちゃんが生まれたんだって!
かわいいぷりぷりの女の子なんだって~
そーなんですか?おめでたいですね~
赤ちゃんってミルクのにおいがするからなんだかペロペロしたくなっちゃいますよね♡
気持ちはわかるけど、僕たちのお口はそんなにきれいじゃないから駄目ですよ。
わかってますよ!
赤ちゃんもいいけど僕だって子犬のころはかわいかったんですからね!ふふん。
僕の子供ができたら欲しいって言われたことあるもん!
でももう去勢手術しちゃったもんねぇ…
先生に僕は手術しなきゃダメって言われて、言われるがままにとられたんですううぅぅ…
訴えてやるうあ゙ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゙ぁあぁ゙ああぁぁうあ゙ぁあ゙ぁ
もう!
ちゃんと理由教えてもらってたのにもう忘れたの?!
え、なんでしたっけ?(思い出せない…)
はぁ…
今回は去勢手術について勉強していこうか。
よろしくお願いしますぅ~♪
まず、去勢手術とは何ですか?
精巣摘出術といわれることもあります。
要は”タマタマ”をとっちゃう手術です!
その通り。
ではどういったことを目的に行いますか?
望まれない妊娠を防いだり、発情した女の子に対して興奮して攻撃性がでることを
防いだりすることです!
他にはどうかなぁ?
うーん、いまいち思い出せないですねぇ…
基本的なところは押さえてくれているみたいだね!
精巣は確かに必要だから存在する臓器なんだけど、
これがあることで起きてしまう病気もあるんだ。
ここからは少し病気のことも含めて、深堀りしていこう!(^^)!
必要な臓器なのに、あることで病気になってしまう…
そんなことがあるんですね~
わかりやすいところでいうと、精巣腫瘍(せいそうしゅよう)だね。
タマタマが腫瘍化してしまうんだ。
良性のものが多いんだけど、悪性のものもあって、
そのままにしておくと命に関わることもある。
セルトリ細胞腫っていうものは、本来必要のない女性ホルモンを過剰に作ってしまう。
悪化してくると、そのホルモンの影響で骨髄に影響が出て
治らない貧血になって死んでしまうこともある!
え~~!女の子になっちゃうの?!
しかもさらに悪くなると死んじゃうの?!
恐ろしい…
いやいや、女の子にはならないけどね
その腫瘍になってしまう確率を高めるといわれているのが潜在精巣(せんざいせいそう)とか
陰睾(いんこう)と呼ばれる状態だよ。
”タマタマ”が陰嚢(金玉袋)に降りてきていないっていう生まれ持っての異常なんだ。
もともと”タマタマ”は生まれてすぐはおなかの中にあって、
生後3か月ごろには陰嚢の中に移動してくるんだけど、
それがずっとおなかの中にあったり(腹腔内陰睾)、
うまく移動できずに腹部の皮膚と筋肉の間に出てしまったり(皮下陰睾)すると
腫瘍化しやすいといわれているよ。
ついでに、こういった陰睾のワンちゃんは子供を作るとその子供も陰睾になる
遺伝性疾患といわれていて、一般的に子供を作ることは勧められないそうだよ。
あ、そうだ、思い出した!
僕は腹腔内陰睾だったから手術しなきゃって言われたんだった!
やっと思い出した?
大事なことなんだからね!
さっき説明したのは精巣の異常によるものだけど、
普通に男性ホルモンを作っているだけで起きてくる異常もあるんだ。
腫瘍にならなくても悪さするんですか?!
そうなんだ。
代表的なところでいうと肛門周囲腺腫(こうもんしゅういせんしゅ)と
前立腺肥大(ぜんりつせんひだい)があげられるよ。
肛門周囲腺腫は良性の腫瘍なんだけど、
肛門の周りの一部の細胞が男性ホルモンの影響で腫瘍を作る。
大きくなると表面が傷つきやすくなってずっとジュクジュクしたり、
うんちがしにくくなることもある。
去勢手術を行うことで発生を抑えたり、できていたとしても
小さくすることが可能なんだ。
前立腺肥大は男性ホルモンの影響で前立腺自体が大きくなって、その近くにある
尿道や大腸を圧迫して血尿や排尿時の痛みが出たり、出したうんちが平べったい形に
なってしまうこともある。
前立腺は一時期お昼のワイドショーでよくやってましたよね~
有名人でよく見つかってたもんな~(‘Д’)
ヒトは前立腺がんも多いみたいだね~犬はあまり多くはないけど。
話を戻すよ。
もちろん前立腺肥大も去勢手術を行うことで改善することができると
いわれているんだけど、そのままにしておくことでさらなるピンチを
引き起こすことがあるんだ!
どんなことが起こるんですか?!
肛門の左右に大腸や膀胱が移動してきて大きなこぶのような形でふくらみができる、
会陰ヘルニア(えいんヘルニア)という病気だね。
うまくうんちやおしっこを出すことができなくなって体調変化を起こす。
場合によっては死んでしまうこともあるよ。
え~~!
どうしてこぶになったりするのか全然想像もつかない。
普通おなかの中の臓器はおなかの中にしっかり決まったポジションがあるよね。
それって横隔膜や腹筋、お尻周りの筋肉がしっかり支えているおかげなんだけど、
ワンちゃんの中にはお尻の筋肉が弱い子たちがいるんだ。
コーギーちゃんやミニチュアダックスちゃんが多いんだけど、
どうもしっぽを振る筋肉が弱いとそうなるんじゃないかともいわれている。
お尻の筋肉ももちろん一つしかないわけじゃないから、何枚も重なって
踏ん張っているんだけど筋力が弱いと筋肉も細くなるから、
筋肉の層の間にすき間ができてしまう。
そこにおなかの臓器にかかる圧力で押されて、すき間に臓器がはまってしまうから
もう簡単には元の位置には戻れなくなってしまうんだ。
もしかしたらしっぽを短くしてる子たちも影響あるんじゃないですかね?
おしゃれのために短い子たちもいますもんね!
そうなってしまった子たちは治すことはできるんですか?
もしかしたら調べるとそういうデータもあるかもしれないね。
ちなみに会陰ヘルニアになってしまうと、穴をふさぐ手術をするんだけど
術後の再発率はとても高くて5割以上とも言われているよ。
お尻の周りを手術することになるから術後に汚れやすいせいでケアも難しいし、
入院期間が長くなることも多いからやっぱり基本的にはそうならないように
予防していくことが大事だね。(=゚ω゚)ノ
そう考えるとたかがタマタマのトラブル程度というわけにはいかないですね~
僕の場合は先生の言いなりになっておいてよかったです。
もう、しっかり頼むよ!
去勢手術で予防できる病気について、メジャーなものはこのあたりかな。
念のため聞くけど、女の子の避妊手術については覚えているんでしょうね?!
そ~ですね~
もちろんそれはですね~
なんというかですね~( ̄д ̄)
・・・
うわー、これは怒られるヤツだ…
しっかり反省するように!
まだまだ基本がなってないですよ!
立派な看護犬への道のりは遠いなぁ…
先輩、もっと教えてください!
さて、今回は去勢手術について『手術で防げる病気』を中心にまとめました。
実際には子供を残したいと考えること、手術に伴うデメリット(麻酔事故など)、
健康な子をあえて手術する必要はないという考え方なども考慮に入れるべきです。
そういった考え方が間違いだとは思いませんし、
去勢手術は強制されるものではありません。
こういった将来起こりうることも踏まえて、
主治医の先生とよく相談し、決定していくことを望みます。
それではクールくんにしっかりお灸をすえた後、
次回は『避妊手術編』をお送りしたいと思います。
お灸ですと?!Σ(=ω= ;)ゲッ!!!!
これは逃げないと!
それでは、まったね~☆